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広報とは?その基本と仕事内容・広報のはじめ方を解説


企業にとって、広報活動は非常に重要な活動の一つです。正しく広報活動を行うことにより、ポジティブなブランドイメージの形成、各ステークホルダーとのコミュニケーション促進、そして社内の人間の士気やモチベーションにまで好影響を与えることができます。しかし、広報の内容や活動の幅は多岐にわたっており、長期的な目線で計画に沿って行動することが求められます。


ここでは、広報とはそもそも何であるかを整理し、その仕事内容についてご紹介します。次に広報の役割を4つ、及び広報活動を始める際にまずやるべきこと5つについて解説します。この記事をご覧いただくことで、広報とは何かについて理解していただけると共に、どこから何を始めれば良いかについて知っていただけます。





1.広報とは?

まず、広報の定義と仕事内容、そして広告との違いについて解説します。


広報の定義

広報は、企業をPRする仕事です。その目的は、企業に関する情報をメディア発信等様々な方法で広め、ステークホルダーとの良好な関係を築くことで長期的な信頼を勝ち取ることです。そして究極的には、商品購入やブランド力アップなどの成果に結びつけることを目指します。つまり、自社のファンを増やすための活動である、と言い換えることもできます。


広報と広告との違い

「広報」と「広告」は同義に捉えられることが多いですが、実は全く異なります。

広報と広告の違いを費用や情報の属性などで比較
広報と広告の違い

広告とは、企業が新聞・テレビなどのメディアの広告枠を買い取り、自社が発信したい情報を確実に発信するという手法です。多額の費用が発生することに加え、情報に客観性が失われます。従って、消費者は発信内容がその企業にとって有利なものであり、不利な部分を隠しているであろう、という目で見られることもあります。


一方で広報は、パブリシティ活動とほぼ同義で捉えられています。つまり、プレスリリースを配信することや取材対応を通して情報提供を行い、メディア主体で自社の情報を発信してもらうことを指します。ニュースや記事の内容はメディアに委ねられますが、原則費用はかからず、情報は第三者による客観的なものなので信用度は高いです。


広報の仕事内容

広報には、社内と社外に向けた2種類の活動があります。そしてそれぞれ、仕事内容が異なります。

広報の仕事内容を目的・対象・活動内容で整理
広報の仕事内容

社外広報

社外広報の目的は、自社やブランドの認知度・好感度を高め、商品やサービスを広めることです。主に顧客、取引先、及びメディア関係者がターゲットになります。

代表的なプレスリリース配信やメディア取材の対応に加え、SNS・ブログなどのオウンドメディアによる情報発信、PRイベントの開催など活動内容は多岐にわたります。


社内広報

社内広報の目的は、社員とその家族等に対して会社の方針や最新情報を共有することで、一体感を高めることです。また社内文化を醸成し、仕事に対するモチベーションを高めることも目指します。

基本的には、社内報を制作・発信することで情報共有を行います。また社外広報同様、イベントを開催するなどの手段もあります。


2.広報の4つの役割

次に、広報の持つ重要な役割4つについて解説します。


ブランディングを確立する

広報活動を通じて、その企業が社会の中でどのような役割を果たしているのか、どのような理念を掲げて活動しているのかを広く社会に共有することができます。これは自社のブランドイメージを形成する活動であり、企業文化を醸成し、社内外にファンを作ることに繋がります。ブランドイメージの浸透には長い時間と労力を要しますが、最終的には競合他社との差別化、及び企業の経営安定に繋がっていくでしょう。


メディアリレーションズを築く

メディアリレーションズとは、メディアとの関係構築に関わる活動全般を指します。メディアの調査・研究、電話・メール・対面でのメディア関係者とのコミュニケーション、そして執筆したプレスリリースの送付やメディアキャラバンなど、日頃の情報交換・取材対応などを含みます。メディアリレーションズを築くことで、自社の認知度を高め、世間に届けたいニュースを発信することが可能になります。


各ステークホルダーのコミュニケーションハブ

広報は、広告のような一方通行の情報発信ではなく、各ステークホルダーが双方向のコミュニケーションを図るネットワークとしての機能も果たします。

社内報の発行・イベント企画などを通じた社内の情報交換、自社と社会の架け橋としての情報収集と発信、そして各メディアとの対応窓口としての役割など、様々な場面において広報はコミュニケーションハブとして活躍します。つまり、その企業と社会との架け橋の役割を担っているということです。


社内のモチベーションアップ

最後に、広報活動は社員のモチベーションアップにも繋がります。自身が働いている企業に関する肯定的な記事・ニュースが発信されることで、社員は会社の一員であることを誇りに思うことができます。

また、ブランドイメージの高い企業で働いているという意識を持つことで、従業員の士気は向上することが分かっています。そのように高いモチベーションを持った働き手は高い成果を出しやすくなるため、そのニュースがまたポジティブなものとして発信されるという好循環が生まれる可能性もあります。





3.広報活動の始め方5つのステップ

次に、広報活動の始める際にまずやるべきこと5つを解説します。


ステップ1:社会・業界の情報収集

広報は、自社と社会との架け橋になる役割を担っています。社会の動きに合わせて自社のメッセージを形成し、それを届けるための広報戦略・方針を常に更新し続けていく必要があります。従って、いつも社会と業界の動向を追い、自社の立ち位置を把握しておくことが重要です。


具体的には、日頃のニュースチェックに加え、メディア関係者・同業界の人脈などから適切な情報収集を行いましょう。


ステップ2:社内状況の把握(経営状況、社内ネタ発掘、コンテンツチェック)

上述の通り、広報活動をする上で社外の情報収集をすることは重要です。しかし、それと同様に社内の状況を正しく把握することも、大切な業務の一つです。


まず、広報は経営に関する情報を発信することが多いため、経営陣の動きは常に追っていなければいけません。自社のビジネスや市場の動向について説明・アピールすることも必要となるため、広報担当が経営についての知識がない場合、会社の信用度を下げてしまう危険性があります。経営会議や事業のミーティングに出席することや、社長や事業部長などの重要なポジションの人と定期的なコミュニケーションの場を設けることが必須です。


次に、情報発信のネタ探しのために、社内の動向・社員の活躍にも目を光らせましょう。発信する情報の内容が経営のことや新商品・サービスのことばかりでは、ネタがすぐに尽きる上に、情報が偏ります。そこで、社内のちょっとした面白いネタを拾っておくことで、各ステークホルダーと距離感を縮めるきっかけにもなります。広報担当者は日常的に社員と食事をすることや、日報・チャットツールなどを活用して、積極的に社内の人間とコミュニケーションを取りましょう。


最後に、サービスサイトや求人情報などのコンテンツチェックを行うことも、広報の重要な役割です。企業の名前で公表する情報は、その企業やサービス・商品のブランドイメージに大きな影響を与えます。広報はこれらの情報に対して検問のような役割を担い、常に各部署が社外に発信しようとする情報を監視しましょう。具体的には、会社としてのトンマナの統一、非公開情報が含まれていないか、法律・モラル問題に抵触していないか、などをチェックすることです。


ステップ3:自社メディア・SNS作成、運用

外部メディアに自社の記事・ニュースが掲載されることは当然重要ですが、そこに頼らず自社で積極的に情報を発信していく活動も並行して行いましょう。そのために必要になるのが、ブログやSNSなどのオウンドメディアです。

自社メディア・SNSを作成、運用することのメリットは下記の通りです。

  • ユーザーとのコミュニケーションが取りやすい

  • 予想外のところでシェアが広がり、一気に自社の認知拡大に繋がる可能性がある

ブログ、Twitter・Instagramのような自社メディア・SNSの開設は非常に簡単で、スタートさせるハードルは低いです。その一方で、フォロワーを獲得するには地道な発信と努力が要求されます。中長期的にコンテンツの発信を継続できるように、運用の計画を立てましょう。


ステップ4:プレスリリース作成、配信

プレスリリースとは、経営や新商品・サービスに関する企業がメディアに向けて行う公式発表のことを指します。文書による発表がメジャーであるため、広報・報道の場では多くの場合その文書自体を「プレスリリース」と呼んでいます。新聞・新聞社を意味する「プレス(press)」と、発表・公開を意味する「リリース(release)」を合わせた造語です。

プレスリリースを作成・配信の目的は、下記の通りです。

  • メディアにその情報を掲載してもらうこと

  • ステークホルダーへ広く情報発信をすること

  • 投資・業務提携のきっかけを作ること

つまり、プレスリリースはメディア・ステークホルダー等との重要なコミュニケーションツールであると言えます。広報は、メディアに自社の情報を取り上げてもらえるように日々アップデートを行いながら、メディアリレーションズを築いて行く必要があります。


また、プレスリリースを作成する際のポイントは、下記の通りです。

  • 数字、データを盛り込む(図表・画像の挿入)

  • 業界、配信先に合わせてテンプレートを使い分ける

  • 興味を引く情報を入れる

具体的な数字やデータを内容に盛り込むことで、説得力が大幅に増します。逆に言えば、「たくさんの」「数少ない」などの曖昧な表現は誤解を生む可能性があるので、避けるようにしましょう。また、数字・データの情報に合わせた図表や画像を挿入すると、さらに分かりやすくなります。


メディア媒体の種類(新聞・テレビ・Web)、ドメイン(全国版・地方版)などによって、報道の特徴やフローなどが異なります。従って、それぞれの媒体に合わせた、プレスリリースのテンプレートを作成することが必要です。具体的には、見出しやアイキャッチなどを変更すると効果的です。


最後に、メディアにその情報を取り上げてもらうためには、事実のみに限らず興味をそそるような内容を掲載することが求められます。例えば、商品・サービスの「斬新性」「唯一性」、開発に関わった人間の「ドラマ性」、そして社会においてどのような役割を果たすかについての「社会性」などの情報です。


ステップ5:メディアキャラバン

メディアキャラバンとは、商品・サービスのサンプルやプレスリリースを持参し、メディアを直接訪問して周るPR営業のことです。「キャラバン」とはペルシア語の「カールヴァーン」に由来する言葉で、日本語では「隊商」という訳語が充てられています。


メディアキャラバンのメリットは、下記の通りです。特にプレスリリースの配信直後に行うことで、効率良くこれらの効果を発揮します。

  • メディア関係者に直接商品を見て、触ってもらうことができる

  • 企業理念や開発秘話を説明することで、メディア関係者に具体的なイメージを共有できる

  • 掲載される記事・ニュースのボリュームを増やすことができる

  • メディアリレーションズを深めるきっかけになる

また、メディアキャラバンを行う際の注意点は、下記の通りです。

  • 必要最低限の情報だけを提供する

  • 自分よりも相手に2倍以上話させる

  • 交流を続ける上で必要な情報を聞き出す

メディア側は、日頃たくさんの企業からメディアキャラバンを受けています。従って、メディア側の立場に立った対応をしなければ、ただ聞き流されてしまう危険性があります。必ず事前に訪問するメディア先の記事・ニュースの内容を把握し、欲しているであろう情報を整理・選別しておきましょう。


また、どの営業活動にも共通していることですが、原則自分が話すよりも相手の話を聞き出そうという姿勢が大切です。これは、聞き手との気持ちの良いコミュニケーションを取るために重要な心得です。つい話し過ぎてしまわないように、「自分は相手の半分以下話さない」ということを常に念頭に置きましょう。


最後に、メディアキャラバンの重要な役割は「メディアリレーションズを築くこと」です。そのために、応対してくれた記者・ライターと、その後も交流を続ける上で必要な情報は必ず聞き出しましょう。具体的には、「担当分野」「担当コーナー」「配属されている部署の組織形態」などです。


4.広報担当者に必要なスキル

最後に、企業の広報を担当する人が求められるスキルについて解説します。

電通パブリックリレーションズ内の企業広報戦略研究所が2014年に行った調査によると、企業が高い広報力を発揮するためには「8つのスキル」が必要であると結論づけています。これは「広報活動オクトパスモデル分析」と呼ばれており、蛸の足のように8つのスキル全てをバランス良く備えることが重要であると言われています。

広報担当者に必要な8つのスキルとは、下記の通りです。

  1. 情報収集力(メディアやステークホルダーの動向について、収集・把握する能力)

  2. 情報分析力(収集した情報から課題を導き出し、組織に広く共有する能力)

  3. 戦略構築力(課題に対する広報戦略の構築、及び目標の設定・見直しを実行する能力)

  4. 情報創造力(情報を正確に広く認知させるために、各メディアに対応したメッセージ・デザインを開発する能力)

  5. 情報発信力(外部メディア・自社メディアなど様々な情報発信手法を適宜使いこなす能力)

  6. 関係構築力(重要な関係者との深い信頼関係を築くためのコミュニケーション力と活動を実行する能力)

  7. 危機管理能力(リスクを予測・予防し、緊急事態に対応する能力)

  8. 広報組織力(経営と広報活動の一体化を目指す仕組み作りをする能力)

広報担当者は、これらの能力を伸ばすことを常に心がけながら、定期的に振り返る機会を作ることが必要でしょう。

*参考:企業広報戦略研究所「企業広報力調査」


5.まとめ

広報とは、企業のPR活動の一種であり、各ステークホルダーと良好な関係性構築を最大の目的としています。また、そこからブランドイメージ確立や、ファンを増やすことにより企業の長期的な経営の安定を目指します。しかし、広報には様々なメリットがある一方、成果を出すためには地道な発信と努力が要求されます。ここで紹介させたいただいたいくつかの最初にやるべきことから、まず実行を検討してみてください。